一枚の看板をめぐって

一枚の看板をめぐって

2017年2月13日

神戸市内のとある公園で、野良猫に餌をあげている女性たちからの相談を受け、昨年の夏以降、継続してTNRを進めています。

周辺の住宅に住むボランティアさんたちの協力を得て、昨年末までに6回のTNRを実施。野良猫の繁殖制限のための不妊・去勢手術を行いました。その数、35匹。

その結果、昨年の秋には、この公園にいる野良猫たちからは、新しい命は1匹も生まれていません。

 

捨て猫の多い公園なので、見かけない大人猫が数匹増えているようですが、現在でも、子猫の姿はまったく見かけられません。

 

昨年春に生まれた子猫たちが、そろそろ大人になり発情期を迎えます。年末までに捕獲できなかった野良猫に対しても、2月の一斉TNRのときに捕獲作業を行うことにしています。

 
地域猫活動に理解ある住民たちの支援を受け、手術に充てる費用として募金が集まりました。そして、そのお金を元に手術を進めた結果、耳にV字カットの入った猫たちが増えてきました。この猫たちからは、新たな命は生まれません。一代限りの尊い命をどうか見守ってあげてほしい―。

 
一方で、けがの治療が必要な大人猫や野良猫の子ども、人によく懐いている野良猫は、ボランティアらが協力して保護。飼い猫としてもらってくれる家庭を探し、託しております。その数、15匹。

以上のTNRと譲渡活動により、半年足らずの間に野良猫の数は減ってきました。

 
そこで、公園に前々からある看板を、神戸市保健福祉局と衛生監視事務所が作成した新しいステッカーに取り替えてもらうべく、区役所の関係部署を訪ねて手続きを進めました。

 
今ある看板は「ネコにエサを与えないで!!」と大きく書いてあります。一方で、新しいステッカーはA4判のコンパクト版。「無責任はエサやりはやめましょう」「猫を捨てないでください! 動物の遺棄は犯罪です」と書いてあります。

神戸市啓発ステッカー

置き餌をしないこと。糞尿の始末をすること。不幸な猫を増やさないために、繁殖防止の手術を施して管理する必要性についても説明してあります。

 

20170112_170054看板アップ

どちらがより啓発的な内容か。餌やりさんたちと話し合った結果、自分たち餌やりのマナー向上の戒めを込めて、新しいステッカーを貼ってもらいたいとの意見で一致しました。

 

 
区役所の保健福祉局を尋ね、事情を話した上で書類申請の後、ステッカーを入手。後は、公園管理事務所に問い合わせ、許可が下りれば設置ができます。
昨年12月の初めに公園管理事務所に電話を入れ、担当者の方からは、現在ある看板を確認したら連絡すると返事をもらっていました。しかしながら、年が明けても一向に連絡がない。先日、どうなっているのか尋ねました。

 
やっといただいた回答は

「公園に野良猫がいてもらっては困るので、新しいステッカーの掲示はできない」

「野良猫への餌やりは認められない」

「この公園で地域猫は認められていないから、地域猫について書かれたステッカーは掲示できない」といった主旨のコメントでした。

今の看板は、公園の花壇を整備している管理組合などの住民から、野良猫が花壇を荒らす。餌をやると野良猫がいつくから困るといった苦情が出て掲示した経緯がある…と。

 

その「野良猫問題」を軽減し、解消していくための地域猫活動を、神戸市は推進しています。

TNRカット
新しいステッカーでは、野良猫に対する正しい対処方法をイラスト入りでコンパクトに説明しています。とてもよくできた内容だと思います。このステッカーを普及させることは、この4月から始まる「神戸市人と猫との共生に関する条例」を浸透させるための、精神的基盤をつくるのに大いに役立つと考えます。

 
ところで、啓発目的のステッカーを掲示することも、公園の整備をすることも、どちらも大切なお役所のお仕事なのですが、ここで冷静に考えてみてください。

 

公園管理事務所が地域猫活動の啓発用の掲示を認めないのは、保健福祉局や衛生監視事務所の業務を阻害することになりませんか?

公園にいる野良猫の繁殖制限をすることも、公園管理や環境衛生、美化の活動の一環ではないのですか?

公園で餌やりをすることで、野良猫たちが周辺の住宅地に侵入してごみを荒らすなどの被害の発生を抑止することにつながっています。

公園管理組合の人たちだけが、「地域住民」とみなされるのですか?

花を手折ったり、苗を抜いたり、花壇の中を歩き回ったり、犬の糞を捨てていったりと、花壇を荒らすのは人間です。

公園にはキツネやタヌキ、イタチなどたくさんの動物や昆虫、草花が共生しているのに、どうして野良猫だけがこれほどまでに悪者になり、排除されなければならないのでしょうか?

餌やりの女性たちも、野良猫が増えることには反対で、望まれない命の誕生をなくすため、費用を自分たちで捻出しながら地道にTNRに取り組んでいます。

花壇を大事にする人たちの気持ちもよく分かる。だからこそ、野良猫の繁殖を抑え、管理しながら減らしていく努力をしている。マナーの悪い餌やりさんを見つけたら注意し、散らかった餌や糞を見つけたら片付けるなど気をつけてもいる。それらの気遣いと対応に対して一定の理解を求め、歩み寄りを求めることは不可能なのでしょうか?

花を大事にする人も、野良猫のお世話をする人も、命を大切に育むという点では同じ価値観を共有し、お互いに労をねぎらい、認め合うことができそうなものですが…。

 
考えれば考えるほど、疑問がわいてきます。

 
野良猫の被害で困っている人の思いを組みながら、地域猫活動の目的と効果、必要性などを説明し、問題解決に向けて住民同士に協力を促すことも、大事な行政のお仕事のひとつであると思います。

実際、神戸市内の他の公園でのことですが、管理事務所の職員さんは、公園管理組合の方々と地域猫ボランティアの間に立って、野良猫との共存について説明し、両者の思いをつないで見事に説得。和解へと導きました。

その現場に立ち会ったことがあるのです。同じ神戸市内で、同じ公園管理の担当者の対応が、これほどまでに異なるのは、何が原因でしょう?

 
全国初と注目をされている新条例が、その目的の通りに効果を発揮するには、いろいろな障壁を取り除く必要があります。その一つが“無知・無理解の壁”。行政関係各部署への啓発活動が、初めの一歩…なのかもしれませんね。




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